体調不良でもテレワークできない職場のリアル。対策は

取引先から「この日の午前中、弊社の事務所に来れますか」と言われ「行きます!」と快くOKしたものの。

「明日起きられるかな、ちゃんと電車乗れるかな」と緊張しつつ、当日を迎えました。

時間通りに家を出て、オフィスのあるビルが見えたとき「よかった、来れた!」と、ホッとしました。

こんな風にして毎朝、通勤してたころが自分にもあったな、としみじみ思いながらエレベーターに乗って取引先のオフィスへ向かいました。

フル在宅でなくていいから「たまのテレワークを認めてほしい」と

取引先のスタッフとミーティングをした後「近場でランチでも」という流れになり、店へ移動しました。

筆者が何気なく「いつも家で仕事してるから、電車に乗ってオフィスへ向かおうとすると緊張してしまって」と話すと、スタッフの一人がこう言います。

「私たち社員も、テレワークできるといいんですけどね。アフターコロナ以降なんとなく、出社の流れが出来上がっていて」と。

筆者は外部者として、このオフィスで皆がビデオ通話やチャットでコミュニケーションしている風景を、幾度となく目にしていました。

「テレワークでいいのでは?高い家賃を支払うなら、社員に還元すれば喜ばれるだろうに。ついでに私のギャラも上げてほしい」と、訪問するたびに思っていたんですよね(笑)。

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制度が「ある」ことと「使える」ことは違う

制度はあるのに、それを自由に使えないとは悩ましいと思いながら、スタッフの話を聞いていました。

「一度テレワークをしてみて、業務に支障がないと分かっているのに制度を使えないのは、歯がゆいですよね」などと言いながら。

男性の上司を、うまく説得できない

通常はオフィス出社でも、ちょっとした不調のときテレワークできると思うとかなり、気持ち的に楽ですよね。

上司に掛け合ったこともあるそうで。

「テレワークにしたい理由」を尋ねられたとき、上司が男性だったこともあり「生理痛や貧血」と言い出しにくく「朝、少し不調を感じたときとか」という表現になってしまったといいます。

結局、具体的な説明ができず、説得には至らなかったのだとか。同じ悩みを抱えながら働く女性はおそらく、多いのではないでしょうか。

休むほどではない体調不良に「休め」と言われることも

経営陣・管理職が男性のみの職場には「休むほどではない体調不良にも、気を使われて休めと言われる」といった悩みもあるようです。

生理痛や貧血といった不調は、少し休めばすぐ元に戻ることも割とあるんですけどね。

それを理解してもらうのは、なかなか難しいことなのかも。

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男性上司に「なるほど」と思わせる、テレワーク許可の理由を考える

多少、体調が悪くても「気合いで出社!」という考え方の人は残念ながら現代にも、まだいますよね。

こういう人に、テレワークしたいと正面から申し出ても「甘え」と取られてしまうのがオチでしょう。

男性上司に伝えるときの「言い方」3選

テレワークの希望を男性上司に伝えるとき「理解されづらい」と感じること、ありませんか。

筆者が会社員として働いていたころも、経営陣・管理職が全員男性という職場がありました。テレワークに対する理解も高くありませんでしたが、今考えるといろいろ、説得の方法はあったと思います。例えば。

「体調不良」ではなく「集中力やパフォーマンスへの影響」で説明

×「朝、ちょっと具合が悪くて」
〇「今朝は体調が万全ではなく、移動が負担になりそうです。テレワークなら集中力を保てるので、今日は在宅で業務に集中したいです」
体調という曖昧な感覚より、「仕事のパフォーマンス」という観点で話す方が、ビジネスライクで伝わりやすいです。

「安全配慮」の視点を入れる

「少しふらつきがあるので、通勤での転倒などが不安です。在宅のほうが安全に業務ができます」
「安全上の理由」として伝えると、相手も納得しやすくなります。

「納期やタスクには影響しません」と先に伝える

「今日は在宅希望ですが、タスクは予定通り進められます。進捗状況の把握が必要であれば、午後にオンラインでご報告もできます」
「テレワーク=サボる」と思われないよう、先回りしてフォローの姿勢を見せておくのがポイント。

どんな言い方にするかは、状況や相手の性格によるでしょう。

必要以上にへりくだる必要はありませんが「相手に理解されやすい言葉選び」を意識するだけで、結果が変わってくることもあると思います。

テレワークが可能な仕事なら「選ぶ」権利があるといいのに

テレワークと出社、どちらを選ぶかは仕事内容や個人の考え方によりけりです。

もしかすると、制度があっても「自分だけテレワークするのは申し訳ない」「出社している人の目が気になる」と思ってしまう向きも、あるかもしれませんね。

ただ、テレワークが可能な仕事なら「出社をしなくてはいけない」という雰囲気を一掃して、在宅で働ける環境を整えることは、大事なのでは。

たとえば通勤ラッシュの時間帯に妊婦さんなどが満員電車で立っていたり、駅のベンチで汗を拭いていたりするのを見かけたりして「無理に出社させられているのか」と感じること、ありませんか。

フレックス制度も、あると助かる

テレワークとあわせて、フレックス制度などもあると助かること、多いかと思います。

病院や役所へ行くのに半休を使うのは、もったいないですよね。

早出して夕方の時間帯を充実させたり、疲れがあるときに遅出できる環境があると安心です。

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テレワークを「させたくない」会社の事情

出社を求める企業側も「ただ頭が硬い」というわけではないと思います。

管理する立場として、

  • 一度認めてしまうとテレワークばかりして会社にこない人が出てくるのでは、という不安
  • テレワークでも問題なく、成果を出しているかどうかを評価できるしくみがない
  • 担当する仕事によってテレワークできる・できないがあり、不平等が生まれるのでは
  • 高額な賃料を払ってオフィスを借りていて、使わないのは損

といった事情も、あるかもしれません。とはいえ、社員の多様な事情に目を向けない状態が続けば、優秀な人材が離れるリスクもあるでしょう。

インフラが整っていて「テレワークしたい」という希望の多い職場なら、こうした問題点をクリアして「テレワークで働きやすい環境」を実現する必要が、あるのではないでしょうか。

全員でなくても、希望者をテレワークすれば会社には利点がある

出社・テレワークを選べるなら、企業側にもいろいろ利点はあると思います。

オフィスの小規模化を図れば賃料負担が減るし、地方・郊外住まいを考えるスタッフの希望が叶えば育児・介護休業などからの復帰も、スムーズになるでしょう。

それに何より、オフィス回帰の風潮のなか「テレワーク可」なら、優秀な人材を集めやすいです。就職・転職市場で大きな魅力になります

会社はもちろん、働き方はひとつじゃない

取引先のスタッフから「テレワークしたいのに会社が認めてくれない」という話を聞いたとき、その場では「それは辛いね」と共感するにとどめました。

内心では「テレワークできる職場・働き方を探した方が早い」と、思わずにはいられませんでした。でも、

  • テレワークできない以外は満足している
  • 転職するほどの悩みではない

といったところなのかな?とも感じられて、本音を話すまでには至りませんでした。

あなたの会社ではテレワーク制度、実際に使えていますか

アフターコロナ以降、テレワークをやめる企業が多いことは、よく知られているところです。

でも世の中をみまわすと、テレワークが可能な仕事はたくさんあります。

「テレワークしたいのにさせてくれない」という悩みをもったときは、転職や会社員でない働き方を模索するいい機会ととらえてみるのも、ひとつの考え方かもしれませんね。



この在宅勤務ブログにも、テレワークできる職場を探したときの体験談宅勤務を希望する理由は?と聞かれて、家で働きたいからと答えると」という記事を掲載しています。

在宅で働ける職場を探す方の参考になるかと思います。ぜひ、読んでみてください。

もちろん、転職だけが解決方法ではないでしょう。現在の勤務先にとどまって仕事をしようという思いがあれば、小さくても声をあげて職場環境を変えていけると、いいかもしれませんね。