理想の在宅勤務を夢みた在宅ワーカー、10年後のリアル

10年前、当時の職場から在宅勤務を命じられました。

在宅ワークのためだけに自腹で家の近所に小さな部屋を借りて、そこを自分の城にしようとしていました。

その「城」で在宅勤務をスタートさせたものの、慣れるまではバタバタのしどおしでした。

在宅勤務に慣れるまで数年かかった

通勤からテレワークに切り替わった当初。

仕事は夜中まで続いて、借りた当初キレイだった部屋は掃除を怠り、資料が積み上がってホコリもたまって汚部屋と化していきました。

そんな感じで始まった在宅ワーク生活は10年を超え、当初は珍しがられた在宅勤務は今、世の中の一般的な働き方として広がりを見せています。

10年前に思い描いた「理想の在宅勤務」はある部分では達成され、ある部分ではちょっと足りない気もしていますが、概ね満足しています。

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10年前思い描いていた、理想の在宅勤務の形

在宅勤務を始めたころは、六畳一間にちゃぶ台と座布団を持ち込み、そこへパソコンやプリンター、固定電話、スキャナーを設置していました。

冬場になると、ストーブとひざ掛けが加わりました。

紙の資料は最初、床に置いていたのですが、百均で整理箱などを買ってそこに入れるようになりました。

当初はとにかく忙しかったです(要領を得なかったのが原因)。

通勤していた時は毎日、週末を指折り数えて待っていたのに、在宅で働くようになったら「よかった、まだ今週2日ある」みたいな考え方になっている自分に驚きました

在宅勤務になって任される業務が増えたこともあり、新しい仕事に慣れるのに一苦労でした。

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数年経ってやっと、テレワークのいいところを実感できるように

テレワークに慣れてくると、どうに働いたらいいかが少しずつ分かってきたような気がします。

ちなみに、このころは「疲れたらいつでも寝そべれる」ということが、いちばん嬉しかったです。

慣れるまで多少バタバタしたものの、自分宛の電話だけに出ればいいことや、人の声・騒音などの聞こえない静かな部屋で作業ができることに自由を感じていました。

打ち合わせなどで外出するとき以外は、部屋の中でどんな格好をしていても基本大丈夫というのも気に入っていました。

だんだん自分の仕事のペースをつかめていくうちに「やっぱり在宅勤務って理想の働き方かも」と思い始めていました。

在宅とはいえ、このころは住居と仕事場が別だったので、慣れてくると出社時間より2〜3時間早く出て、本を読んだりするようになっていました。

汚部屋だったのも時間とともに解消して、ゆったりくつろいで仕事ができる「自分の城」感も。

さらに数年経つとマイペースな在宅ワークを確立でき、残業残業だったのを定時で終われるようにもなりました。

在宅勤務に慣れた数年後、副業をスタート

このころから副業も始めて「会社に雇われなくても大丈夫かも」という気持ちになり始めていました。

在宅勤務を始めてから3年くらい経つと、定時まで会社の仕事をして、夜と早朝、週末に副業をする、という在宅勤務の形が完成していました。

本業をしながら副業のペースをつかむまでやや時間がかかりましたが、じょじょに副業収入が増えて、勤務先の経理から「儲かってるね」と言われたことを覚えています。

収入増で税金が上がると、勤務先が気づいて「こいつ副業してるな」ということになるようです。

副業で収入増になることを勤務先に知られたくない場合、住民税を会社天引きにせず自分で支払うのが良い、と後で知りました。

その時勤めていた会社は、副業に関する規定がなかったので特に何も言われませんでした。

副業で収入が増えたものの、コロナショックで本業は解雇に

収入が増えて、本業ではやったことがなかった仕事を副業でいろいろ経験できて、忙しいながらも自分なりに、理想の在宅勤務の形が出来上がった充実感を感じていました。

会社員時代、10年の在宅勤務の間に副業を経験したおかげで、コロナショックで会社が潰れても「失業手当長めにもらえるし、その間に次のこと考えよう」くらいな感じで、冷静でいられました。

仕事の探し方にも慣れていたのか、コロナ解雇時にも当時の経験が生きて仕事探しには困りませんでした。

失業した時、欲を出して未経験の仕事に応募し始めたからか「これ!」という仕事になかなか出会えなかったのですが「ある程度の数を応募すれば、必ずどこか決まる」という確信がありました。

今はフルタイムではなく、在宅でのんびりパート勤務をしています。

家でできる仕事の探し方について書いた記事「家でできる、安全でいい仕事を見つける3つのポイント」も、よかったら読んでみてください。

理想の在宅勤務ってどんなの?

コロナショックで急に在宅になって「本当は出社したいのに」と思いながら、無理やり自宅で働いている在宅ワーカーの方もたくさんいらっしゃるでしょう。

ワンルームの一人暮らしでオンオフの切り替えが難しかったり、急に在宅になって家族との距離をとるのに苦労したり・・・悩みはいろいろですよね。

思い切って、テレワーク用の部屋を借りてみる

少しでも資金に余裕があれば私がしたように、小さな部屋を借りるのは割といいと思います。

「家を借りるなんて大げさな!」と思うかもしれませんが、本当に小さな空間ならば家賃はそんなにかかりません。

例えば東京23区で探しても、こんな物件が見つかったりします。

2021.6に検索したものです

毎日、自宅から通って仕事をするなら風呂は不要・トイレは共同でもいいのでは。

仕事に使う道具がパソコン・スマホ程度だったら日々持ち帰れば、借家のセキュリティにもそこまで気を使わなくていいかもしれませんね。

ただ、仕事用に部屋を借りる場合、住居ではなく仕事に使うことをオーナーがOKするかどうかは要確認だと思います。

借りるまでしなくても、コワーキングスペースを利用してもいいですし、最近ではカラオケボックスで在宅ワーク向けのプランを出しているところもあります。

たまにはホテルで仕事をするのも憧れますね。

実際、そのころ私が借りていたのはトイレ・風呂共同、家賃37000円のシェアハウスでした。シェアハウスの住人と仲良くなって飲みに行ったりしていたのが懐かしいです。

最近では通常のシェアハウスにあるような共有スペースを少なくして、プライベートな空間を増やした「ソーシャルアパートメント」という形式の賃貸も登場しているとか。

「ネイバーズ」という物件シリーズがよく知られているようです

一人暮らし用のベーシックな賃貸物件に共用ラウンジなどを設けて、住人同士が交流しやすいようになっているそうです。

どんな形にせよ、自分だけの仕事用スペースを確保できたら、理想の在宅勤務にグッと近づくように思います。

私の場合、周囲に事例のない中で自分だけ在宅勤務になるという状況で不安でもあったけど、小さな部屋を借りたことで、今思い出してもいいことの方が多かったです。

10年在宅勤務を続けたら、理想的なテレワークができるのか

10年以上在宅勤務を続けてみて、この働き方が自分にとって理想的だと思っています。

時代の変化にともなって、狭い部屋に設置していたプリンターやスキャナーは要らなくなりました。

紙にプリントして資料を確認、という作業は近年あまりなくなったので、キンコーズなどで十分事足ります。

スキャナーもスマホ撮影することで代用できますし。

紙で送られてくる資料も10年前に比べて激減したので、紙を収納するスペースや収納箱も小さくなっています。

結果、パソコンとスマホ、wifiがあれば仕事は成り立つようになりました。

今は自宅のテーブルの上にパソコンとスマホを置き、自宅用wifiで仕事をしています。

これらは仕事の終了時間になると所定の場所に片付けるので、在宅勤務専用のスペースはもうありません

わりと理想的なテレワーク環境になったいま

最近では10時ごろから16時ごろまでが基本、仕事に充てる時間です。

忙しければ18時ごろまで作業しますが、何もしない日もあります。

自宅が仕事場なので仕事の合間に夕飯の仕込みをしたり、向こう数日用の野菜を刻んで使いやすいように小分けにしたりという作業がいい息抜きになっています。

フルタイムの頃は細かい家事がとにかく面倒で、平日の食事は実家で作ってもらったものを持ち帰り、土日はもっぱら外食でした。

洗濯物もめんどくさくて、シーツや枕カバーは「これいつ洗ったんだ?」という感じで。

今は時間的・気持ち的に余裕があるので、楽しんで家事をしている気がします。

テレワーク開始から10年、仕事と家事のバランスがやっと取れてきたかも

在宅勤務を10年以上してみてやっと、仕事と家事のバランスが取れてきたように思います。

ただ、自分の場合は8年ほどフルタイム通勤を経験した後に、在宅勤務になった経緯があります。

社会人経験が浅かったり、新卒でいきなり在宅勤務というのはなかなか大変な面もあるかもしれませんね。

数日前、クライアント企業を訪問した時に、新入社員と思しき人たちが集まって、半分くらい出社、半分くらい在宅な感じで、テレビ会議システムを使って研修を受けているのを遠目に見ました。

初々しい感じを眺めながら「新人研修がテレビ会議とは、今年の新入社員は大変ですね〜」と言いつつ、周囲ではリモート新人研修の様子を見守っていました。

全てが理想的というわけではありませんが、自分自身では今の働き方・仕事にはそれなりに満足しています。

外でゆっくりランチをしたり、美術館・博物館で普段見ないものを見たり、落語や演劇、映画を観たりしに行けると、思考の幅も広がります。

あと、仕事が忙しくない日は昼間の銭湯へ行くのもいい息抜きです。

たまに出社するのは気分が変わっていいけど「たまに」の頻度は人それぞれかも

月イチくらいで呼び出しがかかる仕事があります。

呼び出しを面倒というほどではありませんが「明日出かけないと」と思ったりして、緊張しています。

朝日新聞がグローバルな話題を紹介する「GLOBE」というサイトで、こんな記事を見かけました。

米調査会社モーニング・コンサルトによる新しい調べだと、リモートで仕事をしている人の47%は、職場に戻っても安全なら、週に1日から4日の在宅勤務を続けるのが理想的だと回答している。40%が毎日自宅で仕事をすると答え、毎日オフィスに行くという人は14%だった。

「テレワークとオフィスワーク 最新調査でわかった、理想の働き方配分」記事より

オフィスワークがいいか在宅がいいか、兼ね合わせがいいかは性格によりけりですかね。

数年前、在宅勤務で仕事が忙しかった金曜日、仕事場から家へ戻る途中に居酒屋の前を通った時のこと。

サラリーマン風の人たちが、週末の疲れをビールで楽しそうに癒していた姿を目にして、少し羨ましく思ったのを覚えています。

在宅勤務では飲みに行こうとするとわざわざ待ち合わせる必要があるし「帰りにちょっと」という感じにはなかなか、なりづらいかなと思います。

「今日飲み行くか!」「おー!」みたいの、懐かしい気がします。

オフィス勤務してるからこその楽しみというのもありますね、やっぱり。

在宅勤務が理想から現実になった今、みんなどんな在宅勤務してるんだろう

私の場合は勤め先から在宅勤務を命じられた10年後、コロナショックで会社が潰れてしまいました。

今は基本、在宅のパートで働いています。

近年、コミュニケーション手段として最近多いものの一つに「グループチャットで会話・情報共有する」というのがあります。

チャットや電話、テレビ電話、対面、メール、少し頻度は減ったけれどファクス、ハガキ、手紙と、コミュニケーションの手段が選べるのは在宅ワークにも、好都合なことが多いかなと思います。

在宅勤務が普及しだしてから朝の電車の混み具合がマシになったり、必ずしも通勤圏内に住む必要がなくなったりと、世の中的にいいことも増えました。

一方で、リモート接続がうまくいかなかったり、テレビ会議時にシステムが不具合を起こしたりと、在宅ワークでストレスを感じる場面もまだまだあります。

これだけたくさんの人が在宅勤務をしていたら、家で働く環境はさらに速いスピードで発展していきますね。

朝から晩まで会社で仕事して、終電に間に合うようにいそいそと居酒屋で飲んでいたのが何だか、遠い昔のように思えます。

今や、外食はたまのイベントになりました。

ネットスーパーなども充実して、忙しい時は買い物に行かずに、調理の手間のないものを取り寄せたりするのも簡単です。

在宅勤務に必要なアイテムはほぼほぼ、世の中に揃ってきました。

10年後には世の中が、そして自分が家でどんな風に働いているか楽しみです。