業務請負先で自覚なしのパワハラが横行。正社員の給料も激安だった

在宅で、企業からライターの仕事を請け負う形で働いている筆者ですが、思いがけず職場の内情を知る機会がありました。

ストレスの少ない環境だと感じていたその職場には、驚くべき事実が隠れていたのです。

正社員スタッフはステキなオフィスに常駐していて、皆さん人当たりがよく(筆者としては)テレワークだしストレスもなく良き、と思いつつ働いていたところ。

「退職することになりました。食事でも」というメッセージ

いつものようにテレワークしていると、業務割り振りのために連絡をしてくる正社員スタッフから、メッセージが届きました。

退職の挨拶に加えて、その前に食事でもと書かれていました。もう1人誘っていて、3人でと。

業務請負の自分にまで、退職前の忙しい時期に食事の誘いなんて律儀な人だなと思いながら、指定された店に向かいました。

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働きたいけど続けられなくなった、という退職理由を想像していたが

「いつも親切で、きちんとやりとりをしてくれるあなたが退職とは、本当に残念」と伝えると「お世話になりました」と、ていねいに頭を下げられました。

「退職の理由を聞いてもいいですか」と切り出すと「上司のパワハラに耐えられず出社できなくなったと。

予想外のことを言われて驚きました。

現状、退職まではテレワークでなんとか、業務を続けているとのこと。

第三者の自分からすると、パワハラする人なんて一人もいなそうな会社に見えましたが、内情は違ったようです

人の入れ替わりが激しい会社だとは思っていた

この会社の仕事を請け負いつつ、第三者的に社内をみていて、ずいぶん人の出入りが激しい職場だという印象をもっていました。

毎日のように何らかの面接が行われているし、年をまたいで在籍する人も社員、パートを含めてとても少なくて。

(筆者の請負料も安いから)正社員やパートも安い報酬のせいで長続きしないんだろうか?と、なんとなく思っていました。

給料安に加えて実際は、社内の人間関係もなかなかヘビーだった様子。

苦手な作業があることを執拗に責められたり、言動に常識がないなどと言われたりするとか、しないとか。

人の出入りが激しいのは、業界の慣わしなのかと他人事のように思っていたけれど、そうではありませんでした。

報酬が安いと思っていたが、正社員も同じだった

こちら「(業務請負の)報酬は安いけど、在宅だし、まあいいか」と思いながら仕事を請け続けること数ヶ月。

業務請負スタッフ同士「ギャラ安いよね」と話していると、正社員も同様のようで。最低賃金スレスレですよと笑っていました。

人の入れ替わりがずいぶん激しいし、正社員の男性で結婚してる人がいないのは、報酬と人間関係のせいかと腑に落ちました。

退職前の選択肢は限られていた

パワハラを受けていた正社員スタッフはずっと、ひとり悩んでいたそうです。

最終的に心身が限界に達し、出社できない状況にまで追い込まれてしまったと聞き、非常にやるせない気持ちになりました。

この状況で選べる選択肢は限られていて、退職を選んだとのこと。「こうするしかなかったんです」と、絞り出すように語っていました。

すぐに次の就職先が決まったとの報告だけが、不幸中の幸いのように思えました。

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パワハラを自覚しない加害者

驚いたのは加害者側が、まるでパワハラをしている自覚がないことです。

「指導しているだけ」「みんなに同じように接している」という言い分が聞こえてきそうな状況でした

パワハラを受けていた側が特別弱いわけでもなく、普通の感覚を持っている人でも、限界まで追い詰められることがあるのかと感じ入りました。

※パワハラは指導や指摘の名のもとに行われることが多く、加害者が自覚しないことも少なくありません。

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その会社、すぐにやめるべき

もしあなたが同じようにパワハラに遭っているなら、すぐにその会社を辞めてください

「もう少し耐えれば何とかなる」「自分が気にしすぎているのかも」と考えるかもしれませんが、そうではありません

心身が壊れてしまう前に、勇気を持って環境を変えてください。逃げる選択肢は常に、あなたの手中にあります。

無自覚なパワハラが横行する職場は多い

筆者も会社員として働いていたころ、パワハラに遭遇したことがあります。

発端は、担当していた仕事でのクレームでした。担当者のミスという形でクレームは決着しましたが、問題はその後です。

担当者であった自分の怠慢が原因と片付けられ「チェック体制を見直さないとまた、同じことが起こるのでは」という、こちら側の意見は聞き入れられませんでした。

その後、ミスをする人間というレッテルが貼られ「大事な仕事は任せられない」とか「辞めてもらうことも視野に入れている」と言われ続けました

退職を申し出るも「(自分から)辞めるなんて責任逃れ」と言われる始末で、まさに四面楚歌という状況でした。

この時のパワハラも加害者側には「職場のため」「能力の低い社員の教育のため」という正義があり、パワハラをしているという自覚はなかったでしょう。

この会社おかしくないか?と自覚

そんな環境に身を置くうち「この会社、おかしいのでは?」と思い始め、筆者が取り組み始めたのは副業です。

いろいろな企業や団体から仕事を受注していると「この会社だけが働く場所ではない」と分かってきて、気持ちが楽になりました。

パワハラを受けながら退職しないでいたとき、筆者がとった行動

そんなふうに自らの周辺環境を整備している間も、連綿と続いていたパワハラに正面から向き合えるようになったのは自分の転機だったと、今にして思います。

いつものように「そんな仕事もできないのか」という上司(課長)に対して「こちらの仕事に不満があるなら、部長と相談して自分をクビにしたらどうですか」と言い放てたときの開放感は、忘れられません

ならばその方向でと言われても「ありがとうございます、喜んで。お待ちしています」と返答しました。

クビになることはなく、その上司が去る形でパワハラは終わりました。

パワハラを受けながら働いたのは、いま考えるととても危険だった

筆者が経験したパワハラは、加害者側が信用をなくす形で去り、終わりを迎えました。

結果、被害者側のこちらは無傷で乗り切ることができました。

でも、いま考えると一人で加害者に立ち向かうのは、かなり危険だったと思います。

もしも、もう少しパワハラが長引いていたら、身体や心を壊していたかもしれません。

こういうとき「立ち向かわなければ!」という気持ちや態度は、理解できなくもありません。しかし、大きなリスクを伴います。

辛い!と思った時はできる限り速やかに、逃げるのが最善なのではないでしょうか

テレワークとパワハラ

テレワークだったから、オフィスで起きたパワハラに自分は、気がつくことができませんでした。

パワハラの被害者になった経験もあり、そういう現場を見たら手を差し伸べようとずっと、思っていたのに。

テレワークは毎日、仕事仲間と顔を合わせる必要がなく気が楽です。でも、今回のような状況には寄り添いにくい側面があります。

また、テレワークの立場でパワハラを受けると、孤独や恐怖と向き合うことにもなるでしょう。

通勤であれテレワークであれ基本、自分の身を守るのは自分しかいないのかもしれません。

こうしたパワハラにあったときのために、スマホやパソコン周辺の録音機能等、いざというとき役立つものを見直しておきたいものです。

自分の身体と心を最優先に

パワハラの問題は、働く人の心や体に深刻なダメージを与えます。

そして、企業側が環境を改善しようとしない場合、犠牲になり続けるのは、そこで働く人たちです

一度失った心や身体の健康は、取り戻すのに時間がかかります。もしかすると、もう元に戻らないこともあるでしょう。

自分を守るために適切なタイミングで決断し、勇気を出して一歩を踏み出すことが大切です。

労働相談窓口を利用

各自治体に、匿名で労働相談ができる窓口が設置されています。

どこまで解決に導いてくれるかは窓口次第だと思いますが、相談だけでもまず、してみるといいかと思います。

◾️厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」

最後に】パワハラかな?と思ったら

もし、あなたが今、パワハラを受けていると感じているなら。

まずは自分の状況を冷静に見つめ直し、職場をやめる、新たな仕事を探すなど、必要な手段を講じましょう。

何より、ご自分の心と身体を最優先に考えてください。全ての人にとって、いちばん大切なのは「耐えること」ではなく「幸せに生きること」

職場がその妨げになるなら、そこから抜け出すことは最も正しい選択です。

テレワーカーの立場から、在宅勤務で「パワハラを受けている?」と感じた時にまず実行したいことという記事も書いています。

よかったらこちらも、読んでみてください。