在宅ワークで親の介護をした4年を振り返る「仕事と家事、介護の終わり」

10年前まで、親の介護をしていました。在宅ワーク中心の仕事だったので、何かと助かった記憶があります。

介護を終えた時は喪失感もありましたが「やっと終わった」的な気持ちもまた、感じていました。

レンタルしていた介護用品を取りに来てもらって、家の中がガランとしたとき急に切なくなりました。

「少し経つと悲しくなってくる」というのは本当みたいです。

暑い夏の日に突然介護が終わったからか、梅雨が明けた晴れの日に真っ青な空をみると、その数日のことが鮮明に蘇ります。

在宅ワークは親の介護をしやすい働き方

在宅勤務だと親の介護をしやすいと、個人的には思います。

在宅であれ通勤であれ、介護と仕事を両立するのは簡単なことではありません。

でも、介護中は例えば朝、デイサービスのお迎えが遅れてしまった時など「通勤じゃなくて良かった〜」と、いつも思っていました。

夕方も、デイサービスの車で家まで送り届けてくれるのは17時ごろだったので、通勤していたら間に合う時間ではなかったです、きっと。

今日は具合が悪そう・・・みたいな時も、そばで見ながら仕事ができたのはありがたかったです。

ただ、朝「これから仕事だ!」っていう時間に粗相をされたりするとちょっと萎えますね。慣れるとはいえ、やっぱり気持ち的に凹みます。

もしも、この記事を読んでくださっている人が、部下などが介護だから在宅勤務に・・・と少しでも考えている場合はぜひ、前向きにシミュレーションしてみてください。

その人は在宅勤務になればかなり、負担を減らせると思います。

職種にもよりますがオフィスワークならPCとwifi、それにスマホ(携帯でも)を貸与すれば、在宅勤務は始められると思います。

可能なら、この他に少しの在宅勤務手当が出るともっと良いでしょう。

プリンターやスキャナー、机などは後から考えればいいです。介護や育児で「あの人、在宅にした方がいいかな」という方が周囲にいる場合は、できるだけ早く実現してあげてください。

そうする前に介護が終わってしまったり、その人が離職してしまったりしたら残念です。

ただ通勤しないだけで救われる状況の人が近くにいるなら、急いで環境を整備してください。

介護経験者からの切なる願いです。

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仕事と親の介護を両立するのは物理的に可能だけど、精神的にはキツイ時もある

通勤よりだいぶ助かる「介護をしながらの在宅ワーク」。でも、気持ち的にかなりしんどい時もありました。

例えば、その日に納めないといけない仕事があった時、親が倒れて救急車で運んだりすると追い詰められます。

救急車で運ばれてそのまま入院になって、電車で夜遅く家に帰ってまた仕事をするのは辛いものがありました。

今思えば「親が倒れたので納期延ばしてください」って正直に言えば良かったです。

そう言われて「納期は厳守です」とか「あなた嘘言ってる?」みたいな話になるわけもありません。

たまには人に頼ることも必要なんですよね、介護をしている時は特に。

日常でも、食事を食べてくれなかったり、家の中をウロウロして転びそうになったりしているのをみると結構、イライラも募ります。

「こっちは仕事してるのに!静かにしてよ!!」って感じでちょっとキレてしまって、自己嫌悪に陥ることもしばしばでした。

昼間、そんな感じでバタバタと過ごして夜また徘徊されると、親の手と自分の手を紐でつないで寝ることになり、常に寝不足でした。

少し経ってからわかったことですが、徘徊するなどの興奮状態にあるとき、その人が好きだった歌を歌いながら身体を撫でたりしてあげると眠気がくるようです(人によるかもしれません)。

私も親の背中や肩をさすりながら「上を向いて歩こう」とか「寅さんの歌」とかよく歌ってました。

そんな日々を繰り返した結果かどうかはわかりませんが、親の介護中にかなり酒量が増えて、肝臓の数値がレッドカードになったこともありました。

介護をしている時も息抜きは必要です。でも、あまりに追い詰められてお酒やギャンブルなどにハマるというのも、考えられない話ではありません。

そうなる前に「もう無理!」って弱音、吐いてみませんか。ずっとずっと気が楽になると思います。

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親の介護に悩んだとき、気持ち的に頼れる場所をあらかじめ知っておく

介護をしていると孤立感が増すかと思います。私自身も、介護中は友人が飲みに誘ってくれても、何かしら理由をつけて断っていました。

介護の話なんかしたら白けるかな・・・とか、友人から結婚とか妊娠とかのハッピーな話を聞いたときに素直に祝福できないんじゃないかという不安があったからです。

そんな時、たまたまネットで目にした「介護サロン」に、思い切って足を運んでみました。

私が見つけたのはNPO法人介護者サポートネットワークセンター・アラジン主催の、親の介護をしている人向けのサロンでした。

月イチで開催されていたそのサロンは、同じ境遇・悩みを持つ人たちと語り合うことができて、気持ちがとても楽になりました。

働きながら親の介護をしてる人ってこんなにたくさんいるんだ〜と、心強く思ったものです。

一人で行っても、車椅子で親を連れて行っても大丈夫だったので助かりました。

そのサロンで「あなたの家の近所にも介護する人・される人が集う〝介護カフェ〟があるから行ってきたら」と言われて、その頃たまに行っていました。

介護に関わる人たちが集うカフェは今、全国的に広がりを見せていると聞きます。お住まいの近くにもあるかもしれないので、もしよければ探してみてください。

NPO法人介護者サポートネットワークセンター・アラジンの他にも「未来をつくるkaigoカフェ」のサイトなどは参考になると思います。

親の介護をしながら在宅ワークしてる「同志」はたくさんいる

在宅で仕事をしながら親の介護をしているとどうしても孤立しがちですが、そういう人ってたくさんいます。

同じ境遇の人と接することで介護の情報を得られることはもちろん、気持ちも晴れるし、私の場合は仕事を得ることにもつながりました。

今は介護が終わって少し時間が経ったので、介護にまつわる場所からは足が遠のいていますが、介護者サポートネットワークセンター・アラジンの会員は続けていて、広報誌などを通して活動に注目しています。

自分の経験が役立つことがあれば、してみたいと思うのですがまだ実現に至っていません。

離職はちょっと待って!親の介護をしながら在宅ワークならできるかも

「介護離職」という言葉をたまに、ネットやテレビなどで見かけます。

介護しながらのお仕事はキツイですよね。介護で仕事を休むことが増えるとどうしても、肩身の狭い思いがして離職・・・という流れになるのも理解できる気がします。

お勤めの職場に、まだ在宅勤務の制度がなければ「家で仕事してもいいですか」って提案してみるのも一つだと思います(職種にもよりますが)。

私も、在宅勤務制度があればなあ・・・と職場でボヤいていた結果「やってみる?」ってなったクチです。

言わないよりはマシなので言える雰囲気があれば、このご時世だし発言してみるのも悪くないでしょう。

どうしてもキツかったら辞めるのもあり。辞めてからのシミュレーション

とはいえ、一社員が「在宅勤務したい」と言ったところで、動く会社ばかりではありませんよね。

どうしてもキツそうなら、辞めるという選択肢もアリだと思います。介護もして毎日通勤して・・・となると、心身の健康を害してしまうかもしれません。

そんな時は辞めて、違う仕事を探すことでもいいと私は考えます。

世の中に「自分ができる仕事で在宅勤務可能なものは何があるのか」ってことを見極めると、現実味が出てくるでしょう。

在宅の仕事を探せる求人サイトに関する記事を少し前に書いたので、参考になれば幸いです。
https://zaitakukinmublog.com/archives/1691

辞めたとなれば、失業手当の受給や保険の切り替えといった作業も出てきます。

こういう申請作業は介護をしながらでも十分できるものですが、私はコロナ解雇の時「いろいろめんどくさいなあ」と感じました。なので心づもりしておくとあとあと、気が楽かもしれません。

失業手当は自己都合退職の場合、三ヶ月後からしか出ないのでその分の生活費・介護費用などを確保していたら安心です。

ご自分の勤め先が、辞めた時に失業手当が出る会社かどうかの確認もしておきましょう。

手当は三ヶ月後から三ヶ月間受給できます(その間に仕事が決まれば終了)。この期間を転職活動に当てればOKです。

在宅勤務の仕事は増えているので、どんな求人があるのかだけでも知っておくと心強いと思います。

在宅ワークをしながら親の介護をした経験で得た「雇われる以外の収入源」

介護が始まると、自然と家にいる時間が増えます。隙間時間が割とある感じです。

最初はお酒ばかり飲んでいましたが、少し慣れてきた頃「この隙間時間を使って、何かできないかな」と考えるようになりました。

本業以外の仕事で、家でできる単発の仕事を請けてみたり、アンケートモニターの在宅バイトをしたりして「本業クビになっても金銭的には大丈夫かも」と少し気が楽になったことを覚えています。

この時期の経験のおかげで数年後、突然のコロナ解雇時も気を確かに持っていられました。「会社がなくなっても大丈夫」という確信があったからです。

でも、介護が始まったばかりの頃は漠然とした不安から、それまで住んでいたローン支払い中のマンションのことが気になって、売却査定をしたりしていました。

「もし売らないといけなくなったら」とか不安に思っていたら、空き家になっていたその家に友人が住んでくれることになりホッとしました。

友人から家賃が振り込まれて「不労所得」を実感した私は「マンションもう一部屋買おうかな」と一瞬思いました。

アホですね、ローンの支払いも終わってなかったのに。

さすがに現実的じゃないよね、と思い直して「ならば、何か少額で始められる投資を」と考えました。

留学をした時に海外の銀行に預けていた50万円弱があったことをふと思い出して「あのお金で、株買ってみようか」という気になっていました。

ただ、その頃は偶然不労所得を得たとはいえ、投資の経験はゼロです。

株を買うには証券会社に口座を作って、そこにお金を入れないと始まらないということすらも知りませんでした。

ネットで調べたり本を読んだりして「口座を作らねば」と理解したものの、数千とある銘柄からどれを買ったらいいか・・・なんて考えて、途方に暮れていました。

実際に、証券会社に口座を作って株を買ったのはその2年後でした。

50万円の元手はすぐに20万円を切り、株のことはしばらく考えないでいました。

ただ、株主優待が送られてきたり、配当金振込のお知らせが届いたりすると「株持ってたんだった」と思い出します。

それでも「もう株なんてこりごり」的な気分だったので、証券会社のサイトにログインして株価チェックをすることはしばらくありませんでした。

そのころは値上がり益(キャピタルゲイン)で資産を作るという方法しか知らなかったから「手持ちの銘柄の株価が下がり続けたら意味ない」と思っていました。

でも、たまたま「株主優待と配当を得るために長期保有するというやり方がある」と、元将棋棋士・桐谷広人さんの生活がテレビで紹介されていて「これだ!」と思いました。

早速、証券会社の口座に100万円を追加して、5つの銘柄を買い増しました。

しかしながらそれらも、半分以下に値を下げる結果に。

さすがに半値を切ると、優待・配当が目当てとはいえさらに買い増ししようとは思いませんでした。

何がいけなかったのか全く分からずに、時間ばかりが過ぎて行きました。

「安定している企業の銘柄を、安値になった時を見計らって買う」という簡単なことに気づいたのは、親の介護が終わった数年後のことです。

介護中の息抜きにもならなかった株式投資ですが、親の介護をしながら在宅ワークの合間に学んだ株式投資は、最近になってやっと、細々とではあるものの収益を出せるようになりました。

現在の生活は、在宅中心のデスクワークを半日ほどしつつ、残りの半日はこうしてブログを書いたり、株の値動きを見たり、本を読んだりしています。

土日は普通に休んでいますが、スポット的に仕事が入れば稼働することもあります。

友人が住んでくれたマンションは3年前に繰上返済でローンを完了して、今は不動産会社に管理を委託しています。

友人が出た後も住んでくれる方があり、貴重な収入源になっています。

在宅ワークで親の介護をしているなら生協やネットスーパーなどを使って「家で買い物」

親の介護をしている時はネットスーパーや生協を使うという考えがなかったので、車椅子で親を連れて、近所のスーパーへ行っていました。

車椅子を押しながら買い物に行くのは、なかなか重労働です。

最近はおうち時間が増えていることもあり、ネットスーパーもかなり充実してきました。少し前までは欠品欠品で「頼んだ物がほとんど届かない!」ってこともザラでしたが(笑)。

私が使っている楽天マートは、5500円以上購入すると送料がタダになるので、週一回まとめて注文しています。

生協は、パルシステムを利用しています。生協は普通のスーパーよりやや割高ですが、都度、安くなっているものを探したりして工夫しつつ、毎週3000円くらいに収まるように買っています。

生協は多くが、介護や育児をしている世帯は手数料(送料)が無料になるようです。お住いの地域で注文できる生協について、調べてみるといいかもしれません。

私は介護も育児も今はしていないので、毎回手数料を198円支払っています。

いつくるか分からない「親の介護が終わる日」に備えて

私の場合、親の介護はいきなり終わりました。

その日も通院のための介護タクシーを予約していて、タクシー会社にキャンセルの電話をしたことを覚えています。

たまたまお盆休みだったので、仕事への影響はほとんどありませんでした。

介護が終わると親戚や知人への連絡、葬儀、役所などへの届け、レンタル介護用品の返却など、けっこういろいろとやることがあり、悲しんでいる暇はありません。

時期によっては葬儀場が混んでしまって待たされる、ということもあるようです。

精神的・体力的にかなり疲れるので、その日のための準備をしておけばよかったと今にして思います。

親の介護は苦しいかもしれないけど必ず終わる。介護しながら考えたい「その後」

目の前に介護しなければならない親がいると、そればかりに気持ちがいってしまってなかなか前向きな考えができないかもしれません。

私も介護が始まった頃はそのウサをお酒で晴らすばかりで、介護のストレスに加えて体調不良に陥るという悪循環でした。

いつ終わるか分からない介護の中で、日々ゆっくりと弱っていく親の様子を目の当たりにするのは辛いものです。

金銭的に余裕があれば公共の介護サービスを利用したり、老人ホームに入居してもらったりするのもアリだと思います。

介護の仕事は、可能な範囲でプロにお任せしましょう。

気持ちに余裕が持てれば、要介護の親ともやさしい気持ちで向き合えるかもしれませんし。

そういう状況を作ることができたら、親を見送った後の「その後」について考えてみるといいかと思います。

私自身は介護中に、親を見送った後のことを具体的に考えたわけではありません。

でも、親の収入が激減するのを目の当たりにしたりして「お金って大事だ」と漠然と考え始めてもいました。

親の介護が始まった30代の後半まで、ただ普通に勤め人として働くばかりで、お金と真剣に向き合う場面が少なかったんですよね。

「毎日働いていれば、給料が口座に振り込まれる」という意識しかなかった。

でも、介護をするようになって介護離職の話を聞いたとき「他人事じゃない」という気持ちになりました。

そこから「会社員じゃなくなった自分は、どれくらいの市場価値があるんだろう」と思うようになりました。

その頃、東日本大震災を経験したことや、パワハラに遭っていたことも手伝って、副業に取り組むようになっていました。

本業が在宅ワークだったから副業しやすいかな、と思ったけど親の介護のこともあり、慣れるまでは徹夜もありなスケジュールで作業しました。

介護や仕事の合間をぬって続けた副業は介護が終わった後も続き、コロナ解雇後はそうした副業で得た「仕事の探し方」で、理想の仕事に出会うことができました。

介護に慣れてきたら「その後」のことを考えてみたいものです。