【中小企業への転職のリスク】大企業と中小企業の在宅勤務を経験して感じたこと

家で仕事をするようになって13年が経ちます。

大部分は中小企業に所属してのテレワークでしたが少しの間、在宅で大企業に勤めたこともあります。

経験上の話なので「必ずこうだ」とは言えませんが、私の経験が「大企業から中小企業に転職してみようかな」と考えている人のヒントになれば幸いです。

中小企業へ転職する2大リスク「潰れやすい」「リストラされやすい」

中小企業へ転職する時、考えられる代表的なリスクに倒産があります。

自分も中小企業に勤めていて会社がつぶれるという経験をしました。俗にいうコロナ解雇です。

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コロナ解雇されたときのこと

あまり安定や長期雇用、業務内容を優先せず、内定が出た中から「そこそこ自由な感じで、家から近い」という理由で選んだ会社だったからか、コロナ解雇にあった時も「まあ、そんなもんだよな」という感じでした。

スタッフの中には廃業の知らせを受けて心身に不調をきたしたり、オーナーに怒りをぶつけたり、オーナーを訴えようと立ち上がったりする人もいました。

勤めていた中小企業は経営者が良くなく、解雇のやり方も腹立たしいものでした。

急にクビを言い渡される

「カネは払う。一ヶ月後に解散!」と突然言われて、社員みな揃ってクビになりました。

オーナーと社員に信頼関係がなかったので、それを聞いて「捨てる時に金が要る粗大ゴミとか産業廃棄物みたいだな、自分」と思ったことを覚えています。

経営も現場も人任せで、普段職場に現れないオーナーがふらっとやって来て、用意した「廃業宣言」の原稿を大声で読んで去っていったそうです。

私はテレワークだったので、廃業宣言の現場には遭遇していません。私の元にはオーナーの廃業宣言から一週間後「解雇通知予告書」と書かれた紙が一枚、郵送されてきました。

本当に、退職金は支払われるのかなという不安

自分はさておき「まじめに働いてきた人たちを、こんな横暴な形で解雇するなんて」と、怒りを覚えました。

カネは払うからと言うだけマシな気もしますが、クビを言い渡された当初は「退職金は本当に支払われるのか?」と疑心暗鬼でした。

うまく廃業してお金を払わず逃げる手口は、少し調べるとたくさん検索されてきます。

なのでスタッフは一丸となって訴訟に踏み切り、結果、慰謝料がプラスされた退職金が振り込まれた時は嬉しかったです。

オーナーが不誠実だったその中小企業は、勤めていた社員はほとんど皆まじめで良く働いて、チームワークもなかなかのものでした。

そろそろ辞めてもいいかな、というタイミングでの廃業で、自分個人としては特に困ることはなかったんですが、会社がなくなることには一抹の寂しさを感じました。

こうした経験は、中小企業勤務ならではのものと言えるかもしれません。

リストラを目撃したときのこと

私が中小企業に勤めた10年と少しの間に何度か、リストラされてやめていく人を何人か見ました。

業績を上げられない雇われ役員が辞めさせられたり、経営が傾いて平社員が肩を叩かれたり。中小企業のリアルな面を見た気がしました。

この会社が潰れる数年前には、サイコパス的な社員がリストラされる場面も目の当たりにしました。

会議でわめき散らしたり、立場の弱い人を執拗にいじめたりする困った人でした。私もまあまあ嫌われて、ミーティングの時に「お前の出してきた資料は嘘だ!」と絡まれたりしました。

サイコパスぶりは年々エスカレートして皆、途方に暮れていました。会社全体の業務にも支障をきたし始めたので、弁護士が間に入って穏便に退職へ導かれ、その人は去って行きました。

去った後しばらくして、亡くなったと風のたよりに聞きました。まだ40代だったと思います。

私たちにはサイコパスに見えていた人だったけれど、何かメンタルに問題を抱えていたのかな、と思わずにはいられなかったです。なぜ亡くなったのかは分かりません。

中小企業はつぶれやすいけど

私の少ない経験からの結論ですが、中小企業は倒産や廃業、リストラが日常的に起こるかもしれません。

経営者が変わったり、コロナのような予想しないことが起こったりすると、さらに危うい面があるでしょう。他にも大企業に比べて

  • 福利厚生が充実していない
  • ワンマン経営
  • 作業環境が粗末
  • 昇給しにくい
  • クレームや事故があると個人に責任を押し付けやすい
  • 社員教育が行き届かない

      といった傾向は、中小企業によくありそうです。もちろんそうでない、いい中小も世の中にはたくさんあると思いますが。

      ただ大企業と比べて、縛りが緩い面はあるようです。

      中小企業で働くのも悪いことばかりではない

      厳しい規則のない働き方で報酬を得ながら、その片手間に勉強したりして「この会社に勤めなくても稼げる」状況を作る心意気があれば、中小企業で働くのもアリだと思います。

      経営が傾いたら独立するか、潰れる前にまた別の中小企業に移れるように資格を取ったり、技術を磨いておけば安心です。

      中小企業では勤め先の経営が傾いたとき、真面目な人は特に「頑張って立て直そう」と考えがちですが、そうしない方がいいと個人的には思います。

      経営者に信頼を寄せていて、全てを捧げて会社に尽くしたいと思えているなら別です。

      会社を生かすも殺すも、経営者の都合だからです。たとえ経営に関わっていても他と意見が分かれたりすれば、オーナーでない限り追放されます。

      それと中小企業で勤めるならリストラへの備えとして、入社時に退職金規定に注意しておきましょう。

      「やめるとき(やめさせられたとき)、いくらもらえるの?」これ大事です。

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      大企業は出世できない人も多いけど、昇進を気にしなければ定年まで働ける

      大企業に勤めながら、中小企業に転職しようかと考えている人もいるかもしれません。

      倒産やリストラのリスクがある反面、比較的自由な働き方が期待できる点は中小企業の魅力でしょう。

      対して、大企業の魅力は安定感とスケールの大きさでしょうか。

      大きなプロジェクトに関わって、社会貢献を実感しながら自分を成長させている大企業勤めの人に話を聞いて、まぶしく思うことがあります。

      誇らしい仕事に関われなかったとしても雇用はほぼ守られるようで、とてもうらやましいです。

      大企業で半年働いてみると

      コロナ解雇後しばらくして、在宅・通勤併用の派遣社員としてパートタイムで大企業に派遣されました。

      派遣元も派遣先も大手で、テレワークでも残業代は1分単位で出るし、貸し出されるパソコンも常に管理が行き届いていました。

      中小企業に長く勤めたあと移ったからか「大企業ってすごいな」と、しみじみ感心しました。

      ただコロナで「自粛、自粛」とうるさく言われたり、帰りに寄り道するなとか、帰省や用事で遠方へ行く時は報告せよとか、たくさんの細かいルールがあり驚きでした。

      ほか、個人情報の取り扱いや、各種ハラスメントとかについて定期的なオンライン講習が行われていました。

      印象的だったのは同じ仕事をしていても社員同士、お互いの家族構成や住んでいるところなど、パーソナルデータをほとんど知らないことでした。

      「どこに住んでるの?」とかは個人情報扱いで、みだりに聞いたりしたらいけないのでしょうか。

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      大企業も中小企業も一長一短ある

      大企業も中小企業も「どちらがいいか」は、人それぞれという感じです。

      ただやっぱり、昇進するしないに関わらず大企業で安定した収入を得続けて、定年を迎えて企業年金ももらって、お金に余裕のある老後を過ごす人生の先輩方は立派だなと思います。

      使い過ぎなければ晩年、自力で老人ホームに入る費用まで用意できるでしょう。

      人生の優先順位が「安定」なら、大企業や公務員がいいかと思います。

      私は安定の優先順位は4位とか5位とかかなという感じです。波乱万丈の人生を送りたいわけではないのですが、興味本位で職場や仕事を選んでみると、不思議と大企業には行き当たりませんでした。

      大企業の方からお断り、というのもあるかもしれません(笑)。

      中小企業への転職のリスクを考えても在宅勤務なら「テレワークだから」と割り切って働ける

      大企業ほどではありませんが、コロナショック以降は中小企業でもテレワーク勤務できる会社が増えてきている印象です。

      自分の場合、35歳でその時勤めていた中小企業から在宅勤務を打診されました。

      「固定給も出るし、テレワークなら通勤より楽だろう」と考えて、テレワーク会社員に。

      気持ち的には会社をやめて独立したかったのですが家族の病気があり、安定を選びました。

      自分からやめずに解雇された結果、退職金が上乗せされた

      会社やめたい気持ちを常に持っていると友人に話すと。

      無理に自分から辞めると退職金損するよ。会社都合の退職なら割り増しになるだろうし、失業手当も長く出るしクビになるの待ったら。経営状態よくない会社なら希望退職募集とかあるかも」と言われました。

      やめようか、いや、やっぱりもうちょっと先・・・とか考えてたら、本当に解雇されました。

      辞めたい!と思ったらまずは辞めた場合のシミュレーションを

      実際、在宅の正社員になってから会社が潰れるまで10年の間、副業でいろんな仕事を試して「クビになったらどう働く」かをシミュレーションし続けました。

      本業以外の仕事をあれこれと試す中で「世の中にはこんな仕事があるのか」とか「こういう雇用形態もあるのか」とか、いろんな発見がありました。

      副業NGではない会社だったので経験できたことではありますが、やっぱりやってよかったと今でも思います。

      ただ、副業をうまく生活の中に取り込むまで時間がかかりました。仕事をたくさん取りすぎて徹夜が続いたこともあり「本業と副業のバランス」についても考えさせられました。

      私が在宅勤務の正社員になった10年前は、テレワークを推進している企業はまだ少なかったこともあり「このポジションは希少かも。テレワークになって、通勤の時よりだいぶ余裕できたし」とも考えていました。

      在宅ワークできる企業ならよほどのブラックでない限り、勤める価値はあると思う

      ただ、納得してないのに「在宅勤務だから」ってだけで勤め続けて、何となく定年を迎えたりするのは残念です。

      私も、友人からの助言を聞いて正社員のまま45歳まで踏みとどまりましたが、それが正しい選択だったかどうかは今でもよく分かりません。

      辞める理由が明確にあったり、あるいは仕事や人間関係のせいで心身に不調をきたしていたりするなら、自己都合でも思い切って辞めた方が、その後の人生は明るい可能性が高そうです。

      少し前、会社をやめたい40代の女性向けに記事を書きました。こちらも参考になれば幸いです。
      会社を辞めたい40代女性へ、45歳でコロナ解雇に遭った私がいま言えること

      規模の大小に関係なく、自分にあった職場を選ぼう

      日本人の多くは学校や家庭などで「勉強していい学校を卒業して、いい会社に入ろう」と刷り込まれて生きているように見えます。

      でも実際に社会へ出てみると、商売上手でたくさん稼いでいる人が実は中卒だったり、Fラン大卒の営業マンが成績トップだったりするのも珍しくありません。

      一方で勉強していい大学を出たのに、会社に馴染めず転職を繰り返して働かなくなる人もいたり。

      私も何となく「みんなそうしてるから」って理由で大学を出ました。

      大人になってからでも生き方は変えられるけど、もっと若い時から自分で道を作っていれば、と思うこともあります。

      中小企業への転職を迷うとき「1番自分が納得できる働き方、生き方」がポイントになると思います。

      その視点で考えてみると「リスクを取らない」ことを優先して、いま勤めている大企業を辞めないという選択肢もあるかもしれません。

      あの時、ああすれば良かったと思わない選択で、死ぬまで楽しく毎日を過ごせるといいですね。

      「みんなそうしてるから」ではなく「自分はこうしたいから」で決めると、後悔も少ないでしょう。